スクラム研修で学んだこと
この記事の概要
今月から事業部で大々的なスクラム開発が始まりました。
導入の前にまずはインプットということで、外部講師の方からみっちり「スクラムとはなんぞや?」を教えて頂きました。
今日の記事は学んだことを整理した内容です。
スクラム開発が生まれたビジネス的な時代背景
【昔】大量生産時代
- マーケット: XXが枯渇している時代
- KPI: アウトプットの量、薄利多売が成立していた
【現代】マーケットディスカバリー時代
- マーケット: かゆいところに手を届かせたい時代、競合と競合のすきまを探す時代
- KPI: 品質、面倒なことを解消してくれる度合い、ROIを高める・コントロールする
【今】マーケットクリエイト時代
- マーケット: 情報が入りやすい時代、新しく生み出す時代
- KPI: 他にないものを生み出す、ROIを高める・コントロールする
ROI
- return on investment (投資した資本に対して得られた利益のこと)
ROIを高めるときの注意点
- 結果を判断するための材料と高めるための材料は全く異なる
- なぜ、いつ、それに投資するのか?が重要
スクラムとは
プロジェクトの現状を把握するためのフレームワーク
- 現状を把握するのはとてもむずかしい
- 把握するものが多い
- 状況は刻一刻と変化する
- 性悪説の観点でルールが定まっている
- スクラムがフォーカスしているのは、investmentをコントロールするために必要な情報を収集するためのフレームワーク
- 🙅returnを高めるためのものではない🙅
スクラムの組織体制
中央集権型組織は今のマーケット時代にそぐわない
- メリット: 統制を取れる
- デメリット: 意志判断が遅い・情報が古い、不適切になることがある
- 刻一刻と状況が変わる今のマーケット時代にとって、このデメリットは致命的な影響をプロダクトに及ぼす
スクラムではTeam Based Organization (チーム中心型組織)を採用している
- 第二次世界大戦のときにアメリカの人たちが使った体制
- マーケットの市場変化を察知してゴールを変える権利を持つ人たち(Product Owner)、ゴールまで最短で推進する権利を持つ人たち(Teams)で分ける
- Product OwnerとTeamsの間には上下関係はない
- 会社は中央集権型が当たり前
- 中央集権型の中で、どのようにチーム中心型組織を作っていくのか?を考える必要がある
Product OwnerとTeamsの役割
- Product Owner | ROIの最大化
- Teams | 生産性を向上
スクラムでは結果主義、手段はなんでもOK
- つまり視点を変えると | 誰もが同じアウトプットになるように結果の定義を明確に、HOWは人に任せる
スクラムの考え方
- 他の人が1時間かかる仕事を5分にするにはどうすればいいのか?
- 様々なHOWについて寛容になる | 「経験上、XXの方が早く終わると思う」という価値観を捨てる
演習
2分間で60歩歩くプロジェクトを実践
- 作業者に適宜歩き方を管理者として指示してみる => まるで歩けなくなることが判明
- 何が問題だったのか?
- 作業者の気持ち | なんでこのタイミングで?「止まれ」「右」というの?的確な指示を出してよ!
- 管理者の気持ち | なんでこの指示でそうなるの?「右」といったら90度でしょ。
「やり方について口を出すのはやめよう」という考え方がスクラムでは大事
- 口を出さないでプロジェクトが危機になったら?
- みんなで仕事を進めていく中で、「気にしている」ことを言い合って、ケアしていけばいい
- やり方を指摘しない
- バウンダリーを明確にすることがファシリテーリングに最も重要
- はみ出てはいけないラインを明確にする
質疑応答
ゴールはどう置けばいいのか?
- ゴールがどんなものであるかというよりも、「なぜ?」を明確にしたり、チームに合った粒度にするのが大事
結果の評価は?
- 速度と360度評価(チーム間でお互いに高めていく)
Product Ownerのあり方とは?
- Product OwnerはROIの影響するかどうかのみ見る、優先順位の「判断基準」を伝える
- Product BacklogやSprint BacklogはTeamがやる(Howだから)、「判断基準」を元に優先順位を付ける
- 中間コストを減らすこと、「判断基準」を適切に伝えられることが大事
技術品質とDONE
品質には、製品品質と技術品質の2つがある
- 製品品質 | マーケットが対価や価値を検証するモノ
- 単体として担保、ユニーク性
- 技術品質 | サービス提供者として担保しなければならないモノ
- 社として担保、効率化
- いくら癌にならないことが保証されていても、ユニーク性はない
- しかし、癌になる可能性があればユニーク性がいくらあっても買ってもらえない
- 技術品質が担保されていないと、ユニーク性はマーケットに受け入れてもらえない
- マーケットの流動性を考えると、製品品質は技術品質になることがある
- 技術品質は時代とともにどんどん増える
- 効率化を考えないと、製品品質を考える時間がなくなる
技術品質の考え方
- 一般論で考えると良い
- 機械的に評価できるものでないといけない
- 透明性がある
DONE
- 自分たちで考えた技術品質定義
- 「私達のプロダクトは最低限、これは絶対に担保しなきゃだめですよね」というもの
スクラム開発で大事なこと
TransparencyとInspectとAdapt
- Transparency
- その時点で正しい情報が一箇所に集められており、次の行動が誘発され続けている状態
- 意味が理解できる状態
- その時点で必要な情報がある
- Inspect
- RealityからGoalまでの差分を検証する
- Adapt => 実際に実行した実績
- 現状維持もAdaptした結果と考える
- 「あなたは何のために行動しているんですか?」と言われて答えられる状態がAdapt
計画
- 計画を立てる力を育む
- 様々な想定外を包括した力強い計画
- スクラムでは、想定外も踏まえた上でいくつかのプランを計画する
- 想定外をどう取り扱うかの判断基準を考えることが先決
- 1つのプランというのは意味がない
- スプリント ... デイリースクラム以外の時間で一人で突っ走れるのが望ましい
総括
- スクラムとは、プロジェクトの現状を把握するためのフレームワークである
- ROIでいうと、investmentをコントロールするための情報収集をするためのフレームワーク
- Product OwnerはROIの最大化、Teamsは生産性を向上させることに集中する
- スクラムで大事な意識
- 他の人が1時間かかる仕事を5分にするにはどうすればいいのか?
- 様々なHOWについて寛容になる | 「経験上、XXの方が早く終わると思う」という価値観を捨てる
- やり方について口を出さない、その代わりバウンダリーを明確にする
- 製品品質は時代とともに技術品質になり、技術品質は膨れ上がる
- 「技術品質をどう効率的に担保していくのか?」がまさにinvestmentをコントロールするための要
- スクラム開発ではTransparencyとInspectとAdaptが大事
- Transparency | その時点で正しい情報が一箇所に集められており、次の行動が誘発され続けている状態
- Inspect | RealityとGoalとの差分が適切に評価できている状態
- Adapt | 目的に向かって実際に実行できている状態
- 刻一刻と変化するプロダクト開発の中で大事なのは、様々な想定外が洗い出された力強い計画
- 想定外をどう取り扱うかの判断基準が存在していれば、みんなスプリンターになれる